株式会社クラフトデンタル
補綴臨床2009/5月号 特別企画 掲載論文
株式会社 クラフトデンタル 代表取締役 衣笠辰雄 著者
今日歯科業界の発展は目覚しく、コーヌス・インプラント・ジルコニアオールセラミック・CADCAMインプラントBr など精度の高い補綴物が求められています。
私たち技工士は、それらの補綴物を模型上で、正確なワックスアップ・精密鋳造・レーザー溶接技術などを持って適合させています。 しかし、それらを口腔内にセット時に、入らない・マージンが足らない・ピッチングする・バイトが高いなど適合しないケースが発生しています。
その原因要素の一つは、口腔内歯列と作業模型歯列のサイズのズレから発生していると考えられます。
今回のプレゼンで印象材のズレ・石膏の膨張のズレを論理的に調査し、そのズレを補正するサイザーフィット模型と、従来型模型との適合比較を、臨床例をまじえて紹介させて頂きます。
項目
1 印象材の試験方法と臨床とのずれ
2 石膏の膨張データの臨床との誤差
3-1 サイザーシステムの概要
3-2 サイザーシステムの模型製作手順
3-3 エポキシ模型での適合比較( メタルプレート / インプラントBr )
3-4 臨床における現象と対策
4 臨床適合比較2症例( キャストパーシャル / アタッチメントデンチャー )
5 臨床例紹介5症例
( コーヌス / オーバーデンチャー1 / オーバーデンチャー2 / オーバーデンチャー3 )
6 作業模型と口腔内のずれのまとめ
適合する要因
適合しない要因
紹介させて頂きました模型のずれは、常に起きている現象です。適合するかしないかは、天然歯では歯根膜のがあり、歯牙の動揺度が患者さまにより違うことと、補綴物の長さに関係があります。またインプラントは歯根膜がなく骨に直接埋入されているため、エポキシ模型上で適合を確認して頂いた状態になります。それを適合させるにはインプラント間をレジンで収縮させない方法で強固に連結して印象採得するか、ご紹介させて頂きましたサイザーシステムを活用することで解決されます。サイザーフィット模型上で製作した技工物に関しては、患者さまの来院回数を減少させるだけでなく、治療期間の短縮にもなります。ドクターにとっても調節や複雑な操作が減りチェアタイムが短縮され、診療の効率化が図れます。私たち技工士にとっても今まで精度を求められるアタッチメントやインプラントの症例、ロングスパンブリッジやメタルプレートの症例で、模型上では完璧に適合しているにも関わらず修正・再製を行うケースの減少にもなります。
最後に、症例を提供していただいた明海大学POI浦安診療所の下島先生 清水先生 涌島先生、渋谷こえぬま診療所 服部先生、ならびにご協力いただいた関西臨床研究会の診療所の先生方、サイザーシステム発売元の株式会社セレックさまには厚く御礼申し上げます。